2025都市住宅学会賞・業績賞

UR まちとくらしのミュージアム

独立行政法人 都市再生機構

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UR まちとくらしのミュージアム(旧赤羽台団地保存・再生プロジェクト)は、戦後日本の都市住宅史を象徴する団地を文化資源・教育資源として再構築した独創的な取り組みである。実物の住棟保存と体験型展示を融合させ、集合住宅の歴史・文化・技術を多層的に伝えるとともに、研究・教育・市民参加を統合した「学びと継承の拠点」として、新たな都市住宅のあり方を提示した。専門家や学生のみならず、子どもや一般市民にも都市住宅への理解を促す仕掛けを備え、実務・学術・教育の三位一体的発展に寄与している。また、保存活用の実践を通じて都市再生や住宅政策への示唆を与え、社会的記憶と文化遺産としての団地の意義を国際的にも発信する点で高い社会的貢献を有する。持続的運営や国際発信の強化といった課題を残しつつも、都市住宅学における「実践と学術の架橋」を体現する先導的事例であり、学際的研究を推進する本学会の理念にも合致する優れた成果である。
以上より、本事業は、当学会の業績賞に相応しいと認められる。

 

◆団地の集会所を子どもたちの居場所に!DANCHIつながるーむ
~夏休みは団地で楽しもう! ~

独立行政法人都市再生機構 西日本支社 支社長 高原 功

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本事業は、夏休みの一定期間、団地の集会所を開放し、冷房の効いた場所で、団地内・外の子どもたちに遊びや学び、ふだんできない体験の場を提供することを通して、子育て支援、クールシェア、ミクストコミュ二ティ等の実現をめざす取り組みである。
本事業は、単なる団地集会所の開放ではない。従来から各団地で個別に実施されていた子ども向けの活動を「DANCH つながるーむ」という統一ブランドのもとに体系化し、企業、地元NPO、大学生、地域住民などと連携して取り組むユニークな試みである。子育て支援を通じて、団地住民と地域住民、住民と地域の企業や組織の関係性を深め、多世代が共生するミクストコミュニティの実現に資する点で、都市住宅における居住支援政策の新たなモデルとして注目される。また、子どもへの安全・快適な居場所の提供、猛暑における保護者の子育て負担の軽減、団地内外の地域住民の交流促進、地域社会全体が子育てに関与する仕組みの構築等の点で社会貢献度は極めて高いといえる。
事業開始3 年間で、実施団地の着実な増加と活動内容の深化がみられ、さらなる事業の展開が期待される。
以上より、本事業は、当学会の業績賞に相応しいと認められる。

 

◆大阪ガス実験集合住宅 NEXT21 の30 年の成果

大阪ガス株式会社 代表取締役社長 藤原正隆

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深刻化する環境問題、少子高齢化の一層の進展、ライフスタイルの多様化などの社会課題に対して、本事業は、住まいと暮らしという視点から、実験という手法を用いて、対応策を提示しようとするものである。具体的には、SI 方式で建設された集合住宅を用い、30 年にわたって居住実験を継続し、住生活の改善を図る技術を開発、提案してきた。建物の耐久性や住まい方の研究、間取りの変更やエネルギーマネジメントの実験など、本事業から得られた知見は、都市住宅政策に有用な示唆を提供してきた。
居住実験の成果は、公開見学会やシンポジウム等を通じてひろく発信されており、都市住宅に係る実務や研究の発展への寄与はすこぶる大きい。近年は、建物が立地する地域でコミュニティのハブとしての役割を果たすなど、地域社会への貢献を一層深化させている。2024 年度には30 周年記念事業として、連続セミナー、記念シンポジウム、学生コンペを開催するなど、若者を含む多様な世代の人々を対象に、事業を通じて受け継がれてきた都市住宅の思想を幅広く発信している。
以上より、本事業は、当学会の業績賞に相応しいと認められる。

 

◆高齢単身女性の終活・居住支援に関する包括的取組とその拠点『都城ハッピー・ハット』

東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 教授 大月敏雄
株式会社DOG 一級建築士事務所・東北工業大学建築学部建築学科 准教授 齋藤隆太郎
特定非営利活動法人 ライフサポートセンターHAPPY 理事長 八反田久実

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ライフサポートセンターHAPPY による女性単身高齢者への住まいに関する取り組みは、終活支援などの活動を積み重ねる中で構想されたものであり、従来の福祉・住宅施策の枠を超えた先駆的な試みである。本取り組みは、女性単身高齢者一人ひとりに寄り添う伴走型支援を基本としており、住宅の相続や住み替えといった個別性の高い課題に対して、柔軟かつ的確な解決策を提示している。また、地域の特性を踏まえ、多様な専門家と連携した支援体制が効果的に機能しており、その事業スキームは他の地方都市においても十分に参考となるものである。
こうした活動の拠点であり、終の棲家の提供を具体化した施設が都城ハッピー・ハットである。本施設は、シェアハウスと独立型賃貸住宅からなる住宅2 棟と、フレイル予防のための活動スタジオおよび専門家の貸事務所を備えた支援拠点1 棟の計3 棟で構成される。これらの建物は縁側デッキと縦ルーバーによって一体的に結ばれ、印象的な外観を形成するとともに、中庭や菜園などの豊かな屋外空間と相まって、魅力的な生活環境を創出している。このように都城ハッピー・ハットは、極めてユニークな支援拠点のかたちを実現しており、建築的観点からも高く評価できる。
以上より、本事業は、当学会の業績賞に相応しいと認められる。

 

 

2025年都市住宅学会業績賞審査員

三浦  研 京都大学大学院工学研究科 教授
池添 昌幸 福岡大学工学部建築学科 教授
孔  相権 安田女子大学家政学部 教授
清水 千弘 一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科 教授
祐成 保志 東京大学大学院人文社会系研究科 教授
瀬渡 章子 奈良女子大学 名誉教授
高井 宏之 名城大学理工学部 教授
佃   悠 東北大学大学院工学研究科 准教授
檜谷美恵子 京都府立大学 名誉教授
藤岡 泰寛 横浜国立大学 都市科学部 教授
真野 洋介 東京科学大学 環境・社会理工学院建築学系教授
山鹿 久木 関西学院大学 経済学部 教授
(敬称略)