会長挨拶

会長就任にあたって


2025 年 3 月 20 日の理事会において、都市住宅学会の会長に選任されました大月敏雄です。副会長に選任されました中川雅之先生、三浦研先生ともども、どうぞよろしくお願い申し上げます。

都市住宅学会は、1992 年 11 月に、建築学、住居学、都市工学、法学、経済学、政治学、社会福祉学、教育学、社会学、心理学などの、多様な学問領域を総合した学際学会としてスタートしました。ちょうどその設立記念の会が、東京大学本郷キャンパスの山上会館で催されていたのを記憶しております。

当時、東京大学の建築学専攻修士課程の 2 年生であった私は、関東大震災の復興住宅として建設された鉄筋コンクリート造の同潤会アパートが建設されて 70 年ばかりを経てどのように住まわれてきたのかを研究しておりました。内務省社会局の外郭団体として出発した財団法人同潤会は、こうした復興住宅としての住宅建設のみならず、帝都復興土地区画整理事業によって住む場を失う人々へ住宅を提供する仮住宅事業や、今の住宅改良事業の元祖である不良住宅地区改良事業、それから各種の戸建て住宅分譲事業、住宅相談事業なども手掛け、あわせて、提供住宅地内での各種福祉事業も展開しており、建築学の学問領域を大きく超えた、まさに総合的都市住宅的課題を解く実践の場であったようです。

研究対象が、このような国家的組織が供給した都市住宅であったため、私の関心事も建築学の範囲を超えて、住居学、都市工学、社会学、そして福祉学へと展開しつつあったので、当時の私にとっての都市住宅学は、まさに、理想的な学際的知的刺激を与えてくれる学術団体に見えておりました。実際、初期の都市計画学会が企画していた研究などに出席し、数十年にわたる同潤会アパートにおける数世代の住みこなしに関する研究を発表した折、社会学の先生から、あなたのやっていることは、法社会学、ないしは社会法学だね、とご指摘を受け、その後博士論文をまとめる際にも、この御指摘が大きく役に立ったことを覚えております。

こうしたこともあり、都市住宅学会会長を拝命するにあたっては、少なからずいくばくかの恩返しをせねばという思いと、こうした、学際的学術の場を少しでも多くの若い研究者の皆さんの役に立ててもらおうという思いを、新たにしております。

ただ、不幸にしてコロナ禍を契機として、本学会の機能の一部が滞ってしまい、多くの方々にご迷惑をおかけしたことを受け、学会役員を一回りほど若返らせつつ、一刻も早くかかつての都市住宅学会の機能を取り戻し、さらに、学術団体としてのより一層の展開を遂げようと、新規理事会一同、心を一つに合わせ、取り組んでまいりますので、会員の皆様のお力添えを、心よりお願い申し上げる次第でございます。

公益社団法人 都市住宅学会 会長 大月敏雄

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